予定がないと、ちょっと不安になる私たち──
なにかしていないと「もったいない」と感じたり、予定が空いてると「何か入れなきゃ」とそわそわしたり。
そんな“埋めなきゃ”の感覚に追われ、知らず知らずのうちに疲れてしまっていませんか?
そんな時は、“何もしない”時間を上手に取り入れて、不安な隙間を埋めてみてください。
“何かをする”ことで得られる充実感も大切ですが、“何もしない”時間がくれる静けさやゆるやかさも、同じくらい大切なのです。
“何もしない”って、最高に贅沢
スマホも見ず、人とも話さず、予定も立てずにただ過ごす時間。
空を眺めたり、風の音を聞いたりするだけの時間は、一見“何もしていない”ようで、実はとても豊かなものです。
お金もスキルもいりません。
でも、それをちゃんと「やる」には、少しだけ勇気がいることでしょう。
「怠けているんじゃないか」
「時間を無駄にしているんじゃないか」
“何もしない自分”に、どこかで後ろめたさを感じてしまうからです。
それでもあえて、なにもせずに過ごしてみる。
他人の価値観からいったん離れ、“ただ、いる”自分をちゃんと認めてあげること。
誰かに見せるためでも、何かを生み出すためでもない。「今ここにいる自分」を、ちゃんと受け止めるための時間。
それこそが、”何もしない”時間なのです。
“何もしない”時間をつくるには?
いきなり長時間、何もせずに過ごすのは、ちょっと難しいかもしれません。
つい手持ち無沙汰でスマホを触ってしまうなんてこともあるでしょう。そもそも、忙しい毎日の中で新たに時間を見つけるのはとても大変なことです。
だからまずは、小さく、気軽に始めてみるのがおすすめです。
ほんの数分だけでも「意識して、何もやらない時間」をつくってみましょう。
ポイントは、「何もしないぞ」と気合いを入れないことです。
“何もしない”時間をつくるためには、
ふとした隙間時間を、“何もしないために使う”イメージです。
はじめの一歩として、”やめる”時間を作ると考えてもいいかもしれません。隙間時間にやることを作って埋めるのを、”やめる”。
そして、何より大事なこと。
「何もしないって決めていいんだ」と、ちゃんと自分に許可を出してあげましょう。
この隙間時間を、予定やタスクを“埋める”ために使うのではなく、自分を整えるために使うのです。
そのためのコツを、いくつかご紹介します。
場所を変えてみる
家にいると、つい掃除をしたりスマホを見たりして、“何か”してしまいがち。
だから、あえて外に出るのもひとつの手です。
たとえば公園のベンチ、カフェの窓際、川辺や海辺。
何もしなくていい場所に身を置くと、「しなきゃ」の気持ちも、少しずつほどけていきます。
家で過ごしたい場合は、”何もしないための場所”を決めて、そこに移動するのもいいかもしれません。
スマホを“ちょっとだけ遠く”に置いてみる
スマホが手元にあるだけで、つい何か見てしまうもの。
別の部屋やかばんの中に置くだけでも、「何もしない」の精度が上がります。
通知をオフにして、ほんの少しだけデジタルから離れてみましょう。
“ただ、いる”という感覚が、ぐっと濃くなります。
“なにもしないメモ”を用意しておく
「何もしない」って意外と難しい。
そんなときのために、ゆる〜くリストを作っておくのもおすすめです。
空を眺める
湯船に漂う
窓を開けて風を感じる
寝転んで目を閉じる
“何もしない”ことに意識が向けられるような、ささやかな行動であることがポイントです。
“何もしない”を心地よくするための、小さな工夫
“何もしない”ことにも、ちょっとした準備があると心地よく過ごせます。
静かな音楽を流してみる
お気に入りの椅子に座る
ベランダで風を感じて過ごす
コーヒーをいれて、香りだけを楽しむ
「何かをしなければ」と思わないで済む空間や時間があるだけで、心がすーっと落ち着きます。
“何もしない”ことに意味を求めすぎない
「何もしなかったけど、意味あったかな…?」と不安になることもあるかもしれません。
でも、意味や成果はあとからじんわりついてくるもの。
その時間が自分にとって気持ちよかったなら、それだけで充分です。
“意味があるかどうか”を忘れるのも、「何もしない」を心地よくするコツのひとつです。
“ただ、いる”だけの自分を、楽しむ
やらなきゃ、進まなきゃ、頑張らなきゃ……
そんな日々の中で、あえて、ほんの少しだけ立ち止まってみましょう。静かな中で、自分の気持ちに気づける瞬間もあるかもしれません。
”何もしない”時間は、”自分をメンテナンスする”時間です。
それはつまり、自分にちゃんと優しくできた証。
怠けるということではなく、“意識的に休む”という、ある種の選択なのです。
“何もしない”をできたことを、ちょっと誇らしく感じてみてください。